ふくしまの女性たちの物語 菅野瑞穂さん

きぼうのたねカンパニー設立レセプション 2013年3月17日(1)

【 きぼうのたねカンパニー設立への想い (菅野瑞穂さんより)】 

 

『たねをまくことは、命をつなぐこと』をモットーに

「人間社会と自然をつなぐ」新しい未来の農業を創ることを掲げています。 

福島県二本松市東和地域には自然豊かな棚田の風景、のびのびと暮らす大地の恵みがあります。

3.11以降、福島の大地は汚染され、田畑は荒れ、人が離れ、農業が一変しました。 

震災2年を迎え、今わたしたちは何をしなければならないのか?

どんな現状と向き合うことが必要か? 

さまざまな問題が、今でも現場では続いています。 そんな中で希望をもつ社会を実現するためには、福島の現場に足を運んでいただける環境を創らなければいけないと動き出しました。

”継続的に”福島で生きる人々と向き合って、現状を伝えていくことが大事になります。

 

2013年3月17日、二本松市木幡山隠津島神社参宿所にて「きぼうのたねカンパニー」設立イベントが開催された。瑞穂さんの新たな出発を祝おうと集まった23名の仲間を前に、会社設立に向けた思いを、社長である菅野瑞穂さんが語った。

菅野瑞穂さんの話

瑞穂さんの住む二本松市東和地区には、原発事故直後、浪江町から避難された方たちが入った。東和地区の人たちは、その方たちの為に避難所に毛布を届けたり、食事作りに通った。ただ当時は放射能汚染の状況もはっきりしなかったため、一時期東京と、新潟の友人たちのところに避難した。避難先では、福島県の情報があまり入ってこなかったことに驚いた。その時に、いろいろなことを考えた。 「津波や原発事故の発生により、いろんなものを失っている人が近くにいるのに、自分たちはなんで助け合えないんだろう。自分たちにできることは、なんだろう」と。この福島県で、自分に何ができるだろうか。そして決意する。 今後、この土地で作付けできるかどうかは、今はわからない。でも東和地域の人たちは「どうなるかわからないけど、とりあえず種をまかないと」と言った。これからどう数値に現れるのかわからない。でも種をまくことが、最初の一歩だと感じた。

種をまく

瑞穂さんの一歩は、震災の3カ月後にひまわりの苗を植えるイベントを開催したことだ。県内から20人くらい集まった。集まったみなさんは「福島のために何かしたい」「福島の農業を応援したい。だから私はここに来ました」と言った。当時は、放射能に対する不安やストレスがあっても、「一歩踏み出そう」という気持ちが、みなの中にあった。 このイベントがきっかけになり、シーズンごとに人を呼んで放射線マップを作りながら「福島は、こういうことと向き合っている」ということを見せたり、「今はこういう現状です」ということを伝えりした。ささやかだが来てくれる人を大切に、イベントを続けてきた。

知る・伝える・耕し続ける

震災後、福島県に足を運んでくれる人がたくさんいた。その人たちに支えられていると感じた2年間だった。でも、いつも誰かに支えられているのではなくて、自分から農業のことを、しっかり伝えていきたいと思った。 東和地域では新潟大学などと連携して、農家と研究者が一緒になって放射能に向き合ってきた。その結果、有機農法で耕した土と放射性物質の関係も、徐々にわかってきた。農家と研究者との取り組みによって出た結果、「農業をやっていけるんだ」という自信に変わった。それは、すごく大きな成果だった。 これからは自分たちが、自分たちで食べるものを選択する時代になると思っている。瑞穂さんは、自分たちのやっていることを消費者に伝えられるような農業をしていこうと考えている。

                                           つづく